主訴 アキレス腱下部が動きによってピリッと痛む。仕事で痛めたのかゴルフで痛めたのか分からない。特に捻ったりした覚えはない。
患部を目視した限り異常はみられない。足を捻ってしまった場合、前距腓靭帯と呼ばれる靭帯を傷めることが多く、アキレス腱の損傷は稀である事を伝え、捻挫の可能性を除外する。次に、アキレス腱を触診してみるが特に異常はみられないため、範囲を広げ腰部から調整してみると、痛みのある右腰部、右大腿部、右ふくらはぎの緊張がかなり強い。特に腰の筋肉は張力が強く、他の筋肉に与える影響も強いため、腰部から大腿部にかけてを念入りに調整すると、歩行時に感じていたアキレス腱の痛みはなくなった。以上の事から、問題はアキレス腱ではなく、腰部の緊張であったと思われる。
痛みの出ている場所に必ずしも病変があるとは限らない事を改めて実感した症例でした。